私はこれまでウイスキーに関わる資格をいくつか取得してきました。ウイスキーの知識ゼロからウイスキーを楽しんできた私ですが、知識はあった方がよいと、今は振り返ります。
当たり前の話ですが、ウイスキーは飲み物です。なので当然飲む、あるいは味わったり香りを確かめたりすることが一番大事です。そしてお酒ですから、ちょっと酔っぱらって楽しい気持ちになることも目的と言えるでしょう。とは言え、ウイスキーはその背景も面白かったりします。
ということで今後、ウイスキーに関する知識、情報をまとめていきたいと思いますので、
- ウイスキーに興味を持ち始めた方
- ウイスキーの資格取得を目指している方
にとっては良いページになると思います。
さて本題に入ります。まずは「ウイスキーの定義と原料による分類」というテーマで綴りたいと思います。
ウイスキーの定義
ウイスキーの定義は一言で「穀物原料の蒸留液を木樽で熟成させたもの」となります。ポイントは「穀物」「蒸留」「木樽で熟成」の3つです。
穀物
穀物と言ってもその種類は豊富です。米、大麦、小麦、黒豆、小豆、きび、あわ、ひえ、キヌア、とうもろこしなどがあります。これらは定義の上では全て、ウイスキーの原料になり得ます。但し多くの場合は大麦、小麦、ライ麦、とうもろこしなどが使われています。
蒸留
次に穀物からアルコールを得る方法ですが、糖化、発酵、蒸留の3工程に大きく分けられます。
- 糖化:酵素の力で穀物から糖類を得る
- 発酵:酵母の働きで糖類からアルコールを得る
- 蒸留:発酵で得られたアルコールを含む液体を蒸留し、アルコール濃度を高める
発酵時点でのアルコール度数は7~9%程度です。大麦から得られた発酵液なので、イメージはビールに近いと思います。そこからさらに蒸留によって度数が高められ、ウイスキーの元が出来上がります。この蒸留液はニューポットとかニューメイクと称されます。(この段階で販売されていることも、たまにあります)
木樽で熟成
ウイスキーと言えば茶色あるいは琥珀色の液体が想像されると思います。ニューポット、ニューメイクの時点では無色透明だった蒸留液は樽での熟成を経て色づき、また、ウイスキーの特徴となる様々は変化を与えられます。例えば、
- 樽材に含まれる成分の溶出
- 樽のわずかな隙間から内外の空気が入れ替わることによる蒸留したての不快な香りの除去、揮発成分の蒸散の進行
などが挙げられます。熟成の期間は短いもので2~3年程度、長ければ20年、30年となります。長期熟成と言えば、2020年頭頃にサントリーから「山崎55年」の発売が発表されましたね。
原料による分類
ウイスキー分類の考え方は国によって違いますが、ここではスコッチウイスキー、あるいはジャパニーズウイスキーの分類についてまとめます。
ウイスキーを分類する切り口はいくつかありますが、原料で分類する場合は大きく「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」の2つに分かれます。
モルトウイスキー
モルトとは大麦麦芽のことです。大麦麦芽のみを原料とするウイスキーのことを「モルトウイスキー」と称します。単式蒸留器(ポットスチル)で蒸留することもその特徴の一つです。また個性的な味や香りを持つものが多いことから「ラウドスピリッツ」という呼び方もあります。
シングルモルト
モルトウイスキーの中でも1つの蒸留所で作られた原酒のみが瓶詰めされている場合は「シングルモルト」と言います。日本ではサントリーの「山崎」や「白州」、余市蒸留所の「余市」などが該当します。
シングルカスク
さらにシングルモルトの中でも1つの樽から瓶詰めされた場合は「シングルカスク」と言います。おそらく、蒸留所が味に自信を持てる樽から瓶詰めし、販売していると思います。個人的見解ですが、おいしいものが多いのでそう思っています。
ブレンデッドモルト
1つの蒸留所の原酒を樽詰めしたものは「シングルモルト」ですが、複数の蒸留所の原酒を合わせて瓶詰めした場合は「ブレンデッドモルト」と言います。日本の製品では見たことないです(私が知らないだけかもしれませんが)。スコッチであればウィリアム・グラント&サンズ社の「モンキーショルダー」などが該当します。
グレーンウイスキー
大麦麦芽(モルト)以外の穀物を原料とする場合は「グレーンウイスキー」と呼びます。とうもろこし、小麦、ライ麦などが多く使われているそうです。モルトウイスキーが単式蒸留器を用いるのに対し、グレーンウイスキーは連続式蒸留器で蒸留します。また比較的クセがなく穏やかな風味から「サイレントスピリッツ」とも呼びます。
シングルグレーン
「シングルモルト」同様、グレーンウイスキーの場合も1つの蒸留所で作られた原酒のみが瓶詰めされている場合は「シングルグレーン」となります。日本ではサントリーの「知多」が該当します。
ブレンデッドウイスキー
原料で分類した場合はモルトウイスキーとグレーンウイスキーの2つに大きく分けられますが、これらを混和させた場合は「ブレンデッドウイスキー」となります。世界で飲まれているウイスキーのほとんどはこのブレンデッドウイスキーです。日本ではサントリーの「響」、スコッチでは「ジョニーウォーカー」や「バランタイン」などが該当します。
まとめ
あらゆる分野でそうですが、定義や分類はその分野の基礎知識と言えます(例えば微生物分野であれば細菌、菌、ウイルスなどを明確に分類することは必要です)。ウイスキーにおいても同様で、定義や分類を知っておくことは他のお酒との違いをはっきりさせますし、ウイスキー自体を楽しむ為にも是非知っておきたい知識です。
以上、ウイスキーの定義と原料による分類についてでした。